離婚調停の流れと進め方|申立ての方法・必要書類・費用・期間

離婚調停(正式には夫婦関係調整調停)は、家庭裁判所で調停委員会を介して離婚とその条件を話し合う手続です。相手方の住所地の家庭裁判所などに申立書と戸籍謄本を提出し、収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手を納めて申し立てます。話合いがまとまれば調停成立となり、成立の日から10日以内に離婚の届出をします。まとまらなければ不成立となり、離婚を求めるには離婚の裁判を起こすことになります。

目次

この記事で分かること

  • 離婚調停がどのような手続で、話合いや裁判と何が違うのか
  • 申立てから成立・不成立までの流れと、期日で聞かれること
  • 必要書類と費用、準備しておくと話が進みやすい資料
  • 期間の目安と、2026年4月の法改正で調停の話合いに関わる点

離婚調停(夫婦関係調整調停)とは

離婚調停とは、家庭裁判所で、裁判官と民間から選ばれた調停委員で構成される調停委員会が間に入り、離婚するかどうかとその条件を話し合う手続です。当事者どうしが同じ部屋で向き合うのではなく、多くの場合は交代で調停室に入り、調停委員に事情を伝える形で進みます。

裁判所の案内では、離婚そのもののほか、親権、子どもとの交流、養育費、財産分与、年金分割、慰謝料についても、あわせて話し合えるとされています。話合いの手続ですから、裁判所が一方の言い分を認めて結論を出すものではありません。合意ができれば調停成立、できなければ不成立で終わります。

離婚の方法全体の違いは協議・調停・裁判の違いを整理した記事もあわせてご覧ください。

どのような場合に調停を利用するか

調停が向いているのは、次のような状況です。

  • 相手が話合いに応じない、または感情的になって話が進まない
  • 相手と直接連絡を取りたくない、会うことに不安がある
  • 養育費や財産分与の金額について、お互いの見通しが大きく違う
  • 口約束ではなく、あとから使える形で取決めを残したい

また、離婚の裁判は、原則としてまず調停を申し立て、それがまとまらなかった場合でなければ起こせません(調停前置。家事事件手続法257条)。裁判を考えている場合でも、調停が最初の手続になります。

一方で、相手からの暴力や強い支配があり、連絡を取ること自体に危険が伴う場合は、申立ての前に安全の確保を優先してください。住所を相手に知られたくない場合の配慮を裁判所に申し出ることもできます。

離婚調停の流れ

  1. 申立ての準備 申立書を作成し、戸籍謄本などの書類をそろえます。希望する条件(親権、養育費、財産分与など)と、その根拠になる資料を整理します。
  2. 家庭裁判所へ申立て 相手方の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所に提出します。静岡県内では、静岡家庭裁判所と沼津・富士・下田・浜松・掛川の各支部、熱海・島田の出張所が家事事件を扱っています。
  3. 第1回期日の指定と呼出し 申立てから1か月前後で期日が指定され、相手方に申立書の写しと呼出状が送られます。
  4. 調停期日 当事者が交代で調停室に入り、調停委員に事情や希望を伝えます。1回の期日は2時間程度で、その日のうちに終わらなければ次回期日が指定されます。
  5. 資料の提出と検討 収入資料や財産資料を提出し、条件のすり合わせを行います。子どもの問題では、家庭裁判所調査官が子どもの意向や生活状況を調べることがあります。
  6. 調停成立 合意ができると、その内容が調停調書に記載されます。調停調書は、養育費などの支払が滞ったときに差押えの根拠にできる効力を持ちます。
  7. 離婚の届出 調停成立の日から10日以内に、市区町村役場へ離婚の届出をします。
  8. 不成立の場合 合意ができないときは不成立で終了します。離婚を求めるのであれば、離婚の裁判を提起することになります。

なお、家庭裁判所が相当と認めるときは、当事者の意見を聴いたうえでウェブ会議で期日を行うことができます。令和7年3月1日以降は、離婚の調停をウェブ会議の方法で成立させることもできるようになりました(電話会議の方法では成立させられません)。遠方に住んでいる場合や出頭が難しい場合は、申立先の裁判所に利用できるか確認してください。

申立てに必要な書類と費用

裁判所の案内では、次のものが必要とされています。裁判所によって追加の書式を求められることがあるため、申立先の家庭裁判所の案内も確認してください。

区分 内容
費用 収入印紙1,200円分、連絡用の郵便切手(郵便料は裁判所ごとに異なります)
書類 申立書及びその写し1通、夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)、事情説明書、子についての事情説明書、進行に関する照会回答書、送達場所等届出書
年金分割を求める場合 年金分割のための情報通知書

このほか、話合いを進めるうえでは、源泉徴収票や給与明細、確定申告書の写しといった収入資料、預貯金通帳や不動産の登記事項証明書などの財産資料が役に立ちます。弁護士に依頼する場合の費用は、弁護士費用のページをご確認ください。

期間の目安

期日は1か月から2か月に1回程度のペースで開かれることが多く、数回の期日を重ねて結論に至るのが一般的です。争点が離婚の可否だけであれば比較的短く、親権や財産の範囲で対立がある場合や、調査官の調査が必要な場合は長くなります。

期間は事案によって大きく変わるため、「何か月で終わる」と断定することはできません。早く進めたい場合は、収入資料や財産資料を早めにそろえ、譲れない点と調整できる点を整理しておくことが有効です。

調停で決めることと、2026年4月の法改正

2026年4月1日に施行された民法等の改正で、調停での話合いの内容にも次のような変化があります。

  • 親権 離婚後の親権者を父母の双方とするか一方とするかを定めることになりました。裁判所は子の利益のため一切の事情を考慮して判断し、子の心身に害悪を及ぼすおそれがある場合や、暴力等のおそれその他の事情で共同して親権を行うことが困難と認められる場合などには、一方を親権者と定めなければならないとされています。
  • 養育費 取決めをしないまま協議離婚した場合に、法務省令で定める額(子1人当たり月額2万円)を請求できる法定養育費の制度が新設されました。これは取決めまでの暫定的な制度で、養育費の相場や上限を示すものではありません。
  • 財産分与 家庭裁判所に財産分与を求められる期間が、離婚の時から5年に伸びました(2026年3月31日以前の離婚は従来どおり2年です)。

それぞれの詳しい説明は、親権の解説ページ財産分与の解説ページもご覧ください。

よくある質問

相手が調停に来ない場合はどうなりますか。

調停は話合いの手続なので、相手が出席しないまま合意ができなければ不成立で終わります。離婚を求めるのであれば、離婚の裁判を起こすかどうかを検討することになります。呼出しに応じない事情がある場合もあるため、次の手続に進む前に、相手の状況や証拠の見通しを整理しておくことが大切です。

調停で決めた養育費が支払われなくなったら、どうなりますか。

調停調書は、支払が滞ったときに給与や預貯金の差押えを求める根拠にできます。差押えができるかどうかは相手の勤務先や口座が分かるかにもよるため、取決めの時点で勤務先などの情報を記録しておくと、後の手続が進めやすくなります。

弁護士に依頼せずに申し立てることもできますか。

本人だけで申し立てることもできます。一方で、財産の範囲や養育費の金額に争いがある場合、資料の出し方や条件の組み立て方で結論が変わることがあります。話合いの途中からでも依頼はできますので、見通しに不安があれば早めにご相談ください。

まとめ

  • 離婚調停は、家庭裁判所で調停委員会を介して離婚と条件を話し合う手続です。
  • 申立先は相手方の住所地の家庭裁判所などで、費用は収入印紙1,200円分と郵便切手です。
  • 申立書と夫婦の戸籍謄本のほか、事情説明書などの書式が必要で、年金分割を求める場合は情報通知書も要ります。
  • 成立すれば調停調書が作られ、10日以内に離婚の届出をします。不成立なら裁判を検討します。
  • 2026年4月の改正で、親権・養育費・財産分与の取扱いが変わった点にも注意が必要です。

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